フラダンスは、ハワイの歴史や文化を美しく体現し、多くの人々を魅了してきました。
私自身も、その魅力に取り憑かれた一人です。始めは健康のためのエクササイズとしてフラダンスを始めましたが、次第にその世界に引き込まれました。
本記事は、これからフラダンスを始めようとしている方や、基本を学びたい初心者の方々のために書いたものです。
フラの歴史や背景、基本的なステップ、そして健康効果などをまとめました。
この記事を通して、フラダンスについて、より深く知っていただければ幸いです。
フラダンスの歴史と魅力
フラダンスは、はハワイの歴史や文化を表現する伝統的なダンスです。
伝統的な”オリ”(詠唱)や “メレ”(歌)とともに、手や腰の優雅な動きでハワイの自然や神話や歴史を伝えます。
フラダンスは、かつては神聖な儀式の一部として踊られていました。
しかし、現代はフィットネスの一環やコンペティション(競技)として広く愛されています。そして観光地やフェスティバルでパフォーマンスとしても、大変人気があります。
フラはどこから来たのか?
何百年も前、ハワイの先住民が物語を伝えるために踊り始めたのがフラの始まりと言われています。しかし、その正確な起源は諸説あり、確定的な答えはまだ見つかっていません。
ハワイの島々には、フラの起源にまつわる物語がいくつもあります。これらの物語は、地域や地理によって異なります。よって、「フラはどこから来たのか?」という問いに対する確実な答えは存在しません。
古代ハワイにおいて、フラダンスは大切な出来事を祝うため、物語を語るため、そして神々を敬うために踊られました。1820年代以前のハワイに文字はなく、そのため、人々はフラを通じて文化的価値や歴史的知識を伝えたのです。
1820以降:フラ暗黒時代と再生
1820年、プロテスタントの宣教師たちがハワイに到着します。彼らはネイティブ・ハワイアンのダンスに衝撃を受け、フラを「下品な異教の儀式」とみなしました。
フラは、1830年にフラが非合法化されます。そしてその後の1834年、公の場でのパフォーマンスが禁じられました。
フラに対する否定的な見方が広まった影響で、フラから距離を置くハワイアンも増えてきました。フラの道具を燃やしたり、衣装を壊したりする人すらいたそうです。しかし、フラの魅力は消え去ることなく、密かに継承されていきました。
そして、1874年から1891年のデイビッド・カラカウア王の時代に、フラは再び輝きを取り戻します。カラカウア王は「フラは心の言葉であり、ハワイの人々の鼓動である」と語り、1883年の戴冠式と1886年の歓呼式でフラが披露が許されました。
20世紀以降:フラダンスの新たな時代
20世紀初頭、「ハワイアン・ルネッサンス(ハワイ文化復興運)」が起こりました。これは、伝統的な文化を古臭いものとして捨て去ったり、観光業にのみ利用することでなく、その意義を現代生活にも生かしていこうとする動きです。
これに伴い、ハワイ語、ハワイ音楽、ハワイアン・ダンスなどのハワイ文化への関心が高まりを見せました。フラダンスはこのムーブメントの中心的存在でした。
この時期、多くのフラ・スクールが設立されます。フラが再び世代を超えて受け継がれるようになったのです。
フラダンスに使われる衣装や道具も復活し、ハワイ文化における重要な出来事や歴史上の人物を祝う新しい踊りも生まれました。
今日、フラダンスはハワイの伝統として、そして観光の魅力として世界中の人々に愛されています。伝統的なフラ・カヒコと、現代的なフラ・アウアナの2つのスタイルで、ハワイの魅力を伝え続けています。
フラダンス:フラ・アウアナとフラ・カヒコ
フラには、フラ・アウアナとフラ・カヒコの2つのスタイルがあります。
フラ・カヒコ:伝統的なフラの魅力
フラ・カヒコは、ハワイの伝統的な踊りのスタイルです。力強く、高い集中力と規律が求められます。かつては男性のみが踊ることを許されていました。カヒコの特徴は、楽器の伴奏ではなく、詠唱に合わせて踊るところにあります。この詠唱には、リズムを刻むための「パフ」や「イプ」といった伝統的な楽器が使用されます。多くの詠唱は、ハワイの伝説や神々に関する物語を基にしています。
フラ・アウアナ:進化したモダンなフラ
19世紀から20世紀にかけて、フラは新しいスタイル「フラ・アウアナ(Hula Auana)」へと進化しました。アウアナは「さまよう」や「漂う」という意味の言葉で、漂うような優美な動きに特徴があります。西洋の音楽の影響を受けており、ウクレレやギターといった楽器の伴奏にあわせます。
フラ・アウアナは男女ともに踊ることができ、ダンサーは手の動きを使って物語を表現します。このスタイルのフラは、観客にハワイの風や香り、そしてその文化を感じさせます。
フラダンスの動き
フラダンスは、その優雅さと力強さを持つ独特のリズムと動きで知られています。
フラダンスには多彩なスタイルがあります。それぞれが異なるストーリーやメッセージを伝えています。
基本姿勢:‛Aiha’a(アイハー)
両膝を曲げ、腰を落とした姿勢。頭からお尻までが一直線に並ぶよう維持します。膝を曲げることで、腰のコントロールが可能になります。特に、体重を移動する際に、腰が自然に揺れるのが特徴です。
足先の美しさを意識する
フラでつま先は伸ばす際には、母趾だけが地面に触れるようにします。これにより、伸ばした足に体重がかかりません。バランスをとるために、もう片方の膝を十分に曲げて重心をかけるようにしましょう。
バランスの重要性
フラダンサーは低い姿勢で踊ることが多いため、バランスを保つことが非常に重要です。スクワットの練習を取り入れることで、体の中心を安定させることができます。
膝を曲げたまま歩く練習も効果的です。かかとやつま先だけでなく、足の裏に均等に体重をかける感覚をつかみましょう。
視線は手に置く
フラにはストーリーがあり、それぞれの手に動きにストーリーが込められています。ダンサーが視線を手に置くことで、ストーリーを最もよく伝えることができます。もちろん、両手を腰に当てる場合などは、手を見る必要はありません。
仲間との調和を保つ
グループでの踊りでは、仲間との調和を保つことが重要です。音楽に合わせて練習することや、動きのタイミングを正確に合わせることで、グループ全体の一体感を高めることができます。
フラダンスの基本的なステップ
フラダンスのステップは、裸足で地面をしっかりと感じることが大事です。
Kaholo カホロ
左右に2歩ずつ移動する、基本的な横ステップです。まず片側にステップし、反対の足でそれに続き、その後また同じ側にステップします。
地を這うような感じで上下動は少なく、足を移動してから体重移動するのがポイントです。腰は8の字を描くように動かします。
Kā‘o カオ
足を少し開き、両手を腰に当て、膝を少し曲げ腰を左右に押し出します。上半身は固定し、下半身だけを動かすことで、美しい8の字の動きを作り出します。
綺麗な8の字を描くには、かかとを上げるときの体重移動がポイントです。身体が上下に動かないように注意しましょう。
Kawelu カベル
体重を左右にしっかりと移動させながら、足を前後にスライドさせる動きです。
足をそろえて立つ姿勢から、右足を前に出し、左足は後ろに添えます。左足を前にスライドさせ、右足の横に持ってきます。リードする足を交互に変えながら、2と3のステップを繰り返します。
基本姿勢は変えず、お尻から頭までがまっすぐになるように意識しましょう。上半身は常に同じ位置で左右に揺らさず、アイハーの高さを維持します。足を前、後、前と出すときは、その度にそれぞれの足と腰にしっかりと体重を乗せることが大切です。一拍ずつ左右に体重が移動し、左右に腰が揺れるように、腰を左右に押し出します。
Hela ヘラ
両足をそろえたポジションから、右足を体の正面に対して45度の角度で前に踏み出します。膝を曲げ、左腰に体重を移動させるて腰を揺らした後、右足を戻します。左足で動作を繰り返しましょう。
簡単に見える動きですが、体重移動に難儀する人は多いです。前に出す時の足は、つま先だけを床につけることもあれば、足裏をすべて床につけるスタイルもあります。
‛Uwehe ウウェヘ
つま先立ちでの腰を前後に振りながら、つま先でリズムを取るステップです。
片足を上げ、体重を反対側の腰に移動させ、両足のかかとを上げて膝を前に出します。この動きを反対側でも繰り返します。
バランス感覚と協調性が求められ、最初はなかなかポーズが決まらないかもしれません。フラフラしないよう、お腹にしっかり力をいれ体幹に集中しましょう。
‘Ami’ アミ
基本的な腰の回転で、’Ami ‘ami 、’Ami’ôniu、’Ami ku’upauなどのバリエーションがあります。円形の腰の動きで、ヤシの木が風に揺れる様子を表します。
フラの基本的な手の動き
フラダンスには、さまざまな言葉や場面を視覚的に示すための特定の手のジェスチャーが使われます。
ただし、これらのジェスチャーは振付師やハラウ(フラスクール)によって異なることがあります。
以下に、多くのフラ・スタイルに共通するジェスチャー5つを紹介します。
- カ・マカニ(風):片方の腕を進行方向に45度の角度で横に伸ばし、もう一方の腕は頭の上に置きます。肘を曲げて手を頭の上で円を描くように動かします。
- カ・ラ(太陽):両手をカーブさせてボールの形を作ります。片方の腕を肘で曲げて、手のひらを上に向けます。
- ニウ(ヤシの木):左腕で右腕の肘を支え、右腕を横に曲げて手のひらを左に向けます。手は風になびく木のように揺れ動きます。
- ウア(雨):指を左右上下に優しく振ります。
- マヒナ(月):両手をカーブさせてボールの形を作ります。
フラダンスの衣装
フラダンサーは演じる曲のタイプに応じて衣装を選びます。
衣装はダンスのストーリーを引き立て、それをより魅力的に見せる役割があります。伝統的な衣装は、ハワイの歴史や文化を反映しています。
女性のスタイル
女性は主に、paʻu(パウ、パウスカート)という長い巻きスカートを着用します。パウは、タパ布やその他の天然繊維で作られ、カラフルな模様やデザインが施されています。
これ以外に、muʻumuʻ(ムームー)という、くるぶしまであるゆったりとしたドレスを着ることもあります。
男性のスタイル
タパ布やその他の天然繊維で作られたふんどし(Maloマロ)を腰に巻き、結び目で固定します。男性は腰にサッシュまたはレイをつけることもあります。
このほか、フラダンサーはGlass Skirt(hau,草のスカート)、モダンなドレス、水着など、他のタイプの服を着ることがあります。
フラダンスのアクセサリー
フラダンサーのアクセサリーには、以下のようなものがあります。
- レイ: 首、頭、腰につける花や葉の花輪
- 手首と足首のブレスレット: 貝殻や骨などの天然素材で作られることが多い
- フキ:アンクレットの一種で、ダンサーが動くとガラガラと音が鳴る
- カパ: カパ:樹皮を叩いて作ったハワイの伝統的な布
島の象徴を纏う
ハワイの島々にはそれぞれを象徴する色と花があります。これらは、1923年にハワイ議会で決定されました。
イベントなどで各島の代表が集まる時にはその島々の花のレイを身に付けることが慣習になっています。
Hawaiian Dance – Infographic Guide to Hula – Fairmont島にちなんだ曲を踊る時は、その島の色のドレスを選び、その島の花のレイをつけます。
- ハワイ島/オヒア・レフア/赤
- マウイ島/ロケラニ/ピンク
- オアフ島/イリマ/黄色
- モロカイ島/ククイ/緑
- カウアイ島/モキハナ/紫
- ニイハウ島/ププ(ニイハウシェル)/白
- ラナイ島/カウナオア/オレンジ
- カホラヴェ島/ヒナヒナ/グレー**
フラダンスが心身に及ぼす9の良い影響
フラダンスは、体と心の両方に効果をもたらす総合的なトレーニングです。感情表現の手段であり、コミュニティの絆を育み、全体的な幸福を高めます。
1 心肺機能の強化
フラのリズミカルで流れるような動きに取り組むと、心拍数は自然に上がります。心拍数の持続的な上昇は血液循環を促進し、重要な臓器に十分な酸素が行き渡ります。長期的に続けると、心臓の筋肉が鍛えられ、心臓病などのリスクを減らすことにつながります。
2 筋肉の強化
フラダンスの特徴である腰の振りや脚の動きにより、脚、体幹、大臀筋などを同時に鍛えることができます。体重移動と姿勢調整は、レジスタンス・トレーニングのような総合的なワークアウトにも匹敵します。
3 柔軟性の向上
股関節の回転と下半身の動かすことで、柔軟性が高まります。フラの練習を続けることで、腰、太もも、ふくらはぎの可動域が広がります。柔軟性が上がることにより、動きを軽やかになり、怪我を予防できます。
4 体重管理
フラのダイナミックな動きは、カロリーを効果的に消費します。足腰の動き、腕の動きが組み合わさることで、エネルギー消費量が高くなります。
5 バランスと動きの調和が高まる
フラダンスを練習することで、バランスと体の協調性を大幅に強化し、身体能力が高まります。身体の部位が相互に動かし続けることで、空間における身体の位置感覚が研ぎ澄まされます。定期的にフラの練習をすることで、筋肉の記憶が強化され、よりスムーズで協調性のある動きができるようになります。
6 脳のトレーニングになる
フラダンスは細かい振り付けがあります。そのため、特定のステップやシークエンス(動作の連続)を思い出さねばならず、脳が刺激されます。記憶を呼び起こしや、パターン認識が必要なので、神経結合が促進されて脳が鍛えられます。
7 ストレス軽減
流れるようなダンスステップと調和のとれた音楽の組み合わせは、瞑想にも似たトランス状態を生み出します。この没入体験は、リラクゼーションと精神の明晰さを促します。
8 孤独感の軽減
フラの練習は、グループやクラスで行われることが多いです。共通の関心事をもつ人の集まる空間は、参加者同士の交流、協力、仲間意識を育むものです。このような場で仲間と過ごすことで、孤独感や孤立感を軽減します。
9.豊かな感情の表現
ハワイの伝統に深く根ざしたフラダンスは、単なる協調的な動きではなく、物語性のある芸術です。ダンスの複雑な身振りや姿勢を通して、ダンサーたちは喜び、悲しみ、愛、葛藤など、感情を込めた物語を伝えます。このストーリーテリングという行為によって、自身の心の中を旅することや、観客との感情を共有することができます。
フラダンスやフラは単なるダンスではなく、ハワイ文化の中心への旅です。健康になりたい人も、スピリチュアルな旅に出たい人も、フラは暖かく迎え入れます。
「興味があるけど、まだチャレンジしていない」という方は、お近くのフラ教室に体験入学を申し込んでみてはいかがでしょう?
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よくある質問
1 フラの基礎を学ぶにはどのくらいかかりますか?
たいていの人は、定期的に練習すれば数週間で基本をつかむことができます。しかし、フラを「マスター」するには何年もかかるかもしれません。
フラフープはハワイ発祥ですか?
残念。違います。フラフープは、紀元前 500 年ごろから、古代ギリシャのエクササイズとして使用されました。フープの伝統的な材料には、柳、籐、ブドウの蔓、草などがあります。現代的なプラスチック製のフラフープは、1958 年ごろブームとなりました。
フラは女性だけのものですか?
フラは女性に人気ですが、女性だけのものではありません。男性の踊りもあります。男性の踊りはより活発で勢いがあります。
オンラインでフラを学ぶことはできますか?
オンラインで学べるコースはたくさんあります。ここで、基本的なステップや手の動きを学ぶことができます。教室では、インストラクターや仲間とのつながりが生まれ、調和を合わせて踊る楽しさを体験することができます。
習い始めるのに特別な服装は必要ですか?
ほとんどの教室は、「動きやすい服装」であれば大丈夫です。ただし、教室やインストラクターにより方針が異なりますので、直接質問してみることをおすすめします。
フラに向いていない人はいますか?
フラは、性別や年齢にかかわらず、多くの人が楽しむことができるダンスです。
しかし、他のダンスやエクササイズと同様、特定の持病や身体的制限のある人は、慎重に取り組む必要があります。不安がある場合は、医療従事者およびダンスインストラクターに相談してみましょう。
ダンスの動きは難しいですか?
初級者向けのクラスでは、ゆったりした曲に基本的な動きを組み合わせた、多くの人が楽しめる内容になっていることがほとんどです。経験者向けのクラスでは、難しく激しい動きが取り入れられることもあります。